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あとがき

海水を多量に含み、通常の焼却方法では決して燃えないとされてきたムース化油の焼却処理技術の開発に、平成6年度から3ケ年にわたり取組み、結果として、C重油のような低沸点成分が蒸発した油から原油まで、全ての油種のムース化油に対して焼却技術の開発に成功したことは非常に大きな成果である。
従来、ムース状態となり高粘度化した油の処理は、最終的には人海戦術による長期間の根気強い回収処理しか方法を持たなかったが、この技術の開発により流出油処理手法の選択肢が一つ増えた訳である。しかも、このムース化した油の焼却処理技術は、世界で初めてのものと考えられる。
焼却処理技術の運用においては、煤煙や燃焼残渣の問題等地元自治体や漁業組合に対して理解を求めながら進めなければならない問題点はあるが、海域の汚染状態の継続や防除作業に費やす負担の問題を考えた時、この手法を採用するかどうかは、従来型の方法と本法の間の比較の問題でもあるとも思われる。現場の環境、状況等を適切に判断したうえで、最良の流出油処理手法が採られるであろうが、今回その手法の一つとして焼却処理を提言できたことは、この研究開発に関わった委員及び関係者一同の慶びとするところであり、自負するところでもある。

 

焼却処理調査研究専門委員会
委員長 秋田一雄

 

 

 

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